【マイレージ、マイライフ】アナログは悪くない

原題は「Up in the Air」なのに、この邦題を語呂も良い「マイレージ、マイライフ」にしたことは素晴らしいアイデアだと思います。ただ、マイレージを獲得ことは、ここではバーチャルではないリアルな生活の象徴として描かれているに過ぎないので、「マイレージ獲得術」が云々というキャッチコピーはいかにもミスリードです。

ジョージ・クルーニー演じるライアンは、企業の管理職に代わって解雇を通告する、いわゆるアウトプレイスメント会社の担当者。人事が仕事の僕にとっては、似たような業務を経験しているだけに身につまされるものがあります。彼は、オンラインでの通告という新しいシステムに反旗を翻すアナログ人間として描かれ、旅で出会うアレックスとの関係もバーチャルなものとは考えませんでした。人と人が対面することの大切さは僕が最近ひしひしと感じていることなので、それは決してアナログな行為だとは思っていないのですが…

本筋を外れますが、空港でのライアンの旅慣れた身のこなしは、僕の目指している行動です。作中でライアンは「アジア系は荷物も少なく、旅慣れていて、手荷物検査に時間がかからない」と評していますが、あまり僕はそういう実感はありません。アジア系だろうがアングロサクソンだろうが、回りを気にせず学習もしない「人種」はかなりの数存在するのです。

この作品自体はテンポよく展開するし、全体的にカラリとしたドライな作りになっているので、気楽に鑑賞できます。見終わった後の余韻も、後味の悪いものではなく楽しめました。

http://www.mile-life.jp/