【東京オペラシティ】アントワープ王立美術館展

初台にある東京オペラシティアートギャラリーで10月3日まで開催中の「アントワープ王立美術館コレクション展」に、お盆休みに出掛けました。どこへ行っても混んでいるこの時期に、ゆったりアートを鑑賞できるのは、それだけでも貴重です。ベルギーの美術はそれほどメジャーではありませんが、なずか最近東京でお目にかかることが多いですね。

展示の序盤は、作品の色彩の暗さが目立ちます。これは単純な画風というよりも、絵画の保存状態にもよるように思いました。表面の絵具の上にほこりのようなものが見られたから… そんな序章から、中盤には少しずつハイライトと呼べる作品が登場します。デ・サデレールの「フランドルの雪景色」は、静謐な丘の向こうに雲の羽衣越しの太陽を描いた作品。宗教的ともいえる静けさが印象的です。

ファン・デン・ベルヘの「人生」は、闇の中で交わろうとする男女とそれを回顧するかのように顔をしかめる老婆をファンタジックに描いています。物語性にあふれていて、ついつい思いをめぐらせてしまうような作品です。そして何と言ってもベルギーの画家の代表はルネ・マグリットでしょう。雲を題材に騙し絵の手法で描いた「復讐」に、小気味よさを感じました。

傾向として気づいたのですが、ポスト・キュビズムのエリアに展示されている絵画は、なぜかどれも人物の顔が画面の上方にあって、頭の一部が切れてしまうほどです。このバランスの悪さは、何を狙ったものなのか、調べてみたいと思いました。

http://www.operacity.jp/ag/exh120/index.html