【銀色夏生】つれづれノート⑮

以前はほぼ年に一回の発行を楽しみにしていた銀色夏生の「つれぞれノート」ですが、あまりにも彼女の生活が浮世離れしてしまったこと、そして読者からの感想に対して耳をふさぐ姿勢にがっかりして、読むのを止めていました。たまたま友人から、「最近は読者の声も受け止めている」と聞いたので、借りて読んでみることに。

相変わらずの浮世離れ感でしたが、以前ほど自分の殻に閉じこもった雰囲気は和らぎ、一歩引いた視点から物事を客観的にとらえる文体が活きていたような印象です。これなら、読み進めていく間にイライラしてしまうこともなく、普通に読了することができました。

ただ、この人の「客観的な物の見方」は自分の子どもや家族にも及ぶんですよね。高校生になった娘の「カーカ」や小学生の息子「さく」、そして母親や兄までもが極めてドライな視点で描かれます。特に、自分の子どもに対しては、ここまで「親」であることを超越していることに、ある意味潔さすら覚えてしまいます。

すでにさじを投げられた感のある「カーカ」が、少し気になります。なにせウチのネコの「あーにん」はもともと「あー坊」と呼ばれていて、それは「カーカ」がまだ赤ちゃんのときに銀色夏生が彼女をそう呼んでいたことにちなんでいるので…