【フェルメール展】展示○、運営×

東京・上野の東京都美術館で先週の土曜日から開催されている「フェルメール展~光の天才画家とデルフトの巨匠たち」を鑑賞してきました。フェルメールの作品は全世界に36点しか遺されていないのですが、そのうちの7点が見られる貴重な機会なのです。特に「ヴァージナルの前に座る若い女」は個人蔵なので、このような展覧会のチャンスでしか鑑賞できません。

フェルメールの7点は、いかにも彼らしい室内の人物を扱った4点とそれ以外の3点に分けて展示されていますが、これは非常に鑑賞しやすい配慮です。それぞれの比較もしやすいし、彼の画風を理解する上でもわかりやすい展示といえます。フェルメール以外の画家では、デ・ホーホの作品が興味深かったです。フェルメール同様に室内の人物の一瞬の動きを切り取った作品がいくつも展示されていますが、フェルメールとの大きな違いは光の当て方や濃淡のつけ方が平板なこと。フェルメールの作品がなぜここまで活き活きとしているのかを、対照的な理解を助けてくれるでしょう。

一方、この展覧会の運営はあまりうまくいっていません。当日券窓口の並び列もわかりにくいし、最近の展覧会の傾向ではありますが、無理やり物販エリアに導線をもっていくために、東京都美術館の狭い階段ですれ違う必要が生じてしまっています。係員も積極的に見学者に声をかけようとせず、いかにもアルバイト感覚であることもマイナスです。

今日は最初の平日だったせいか、午前中からかなり混雑していました。この手の美術館が本当の美術ファンよりも、新聞社の配る招待券を持った見学者に荒らされてしまっている現状は嘆くべきですが、そうでもしないと美術展が成り立たないのが日本の現実なのでしょう。

http://www.tbs.co.jp/vermeer/jpn/index-j.html