【インカ・マヤ・アステカ展】文明と人命

上野公園の国立科学博物館で開催中の「失われた文明 インカ・マヤ・アステカ展」を見に行ってきました。夏休みで子どもたちが多数来場する前を狙ったのですが、シルバー世代でかなり混雑していました。前にも書いたことがありますが、団塊世代の定年退職で平日昼間のビジネスチャンスは広がっているように思います。

さて、展示ですが、あまり馴染みのない中南米の文明だけに、展示品よりもその説明のストーリーに興味がありました。マヤ文明では、移動手段はほぼ徒歩に限られたそうで、そんな時代には部族間の争いといってもそれほど大規模なものにはなり得ません。その意味では、自動車や航空機といった移動手段の進化によって戦争の規模や犠牲者の数も拡大していったということになります。徒歩圏内で十分な生活物資があることが、実は究極の幸福なのではないかと思いました。

そしてアステカ文明では、船を利用した移動手段により首都テノチティトランが成立しました。そして、当時の戦争の目的の大きなものには、「生贄にするための人間」の獲得があったのです。残酷だと言うことは簡単ですが、それほどまでに重要な願い事を成就させるために最も貴重な人命を使ったと考えることもできます。この視点から捉えるならば、生贄の儀式が単に残酷なものではなく、多数の幸福のための犠牲というまさに現代の政治にもつながるものなのだと気づかされました。

展示品自体もあまり目にすることのない独自の雰囲気に満ちたものですので、混雑さえしていなければ大人も子どもも十分に楽しめる展覧会だと思います。

http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2007/inca_maya_aztec/index.html