【サッカーU-20】勝敗の伏線は

結果を知っているからこそ、何とでも言える。そのことを認識した上で、このゲームの勝敗を分けた伏線をみっつ挙げてみたい。ひとつめはキックオフ直後のプレー。チェコのFWが角度がなく、しかも足が届くとは思えないようなポイントから打ったシュートが危うくポストを叩いたことだ。普段ならゴールラインを割ると判断できるボールでも、今日の敵では危ない。福元がPKを取られた背景には、このプレーへの恐怖心が見え隠れした。

ふたつめは、70分の河原→青木の交代である。このゲーム、それまでの日本は攻守にバランスを保っていた。2-0とリードしてのこの交代は、イレブンには監督・吉田靖からの「守るな、攻めろ」というメッセージに受け取れる。交代のカードを使ってフレッシュな選手を入れることは、もちろん考え方としては正しい。しかし同時に、それまでのバランスを微妙に変えてしまう。今日の展開であれば、僕にはこの交代は早すぎるように見えた。河原の運動量が極端に落ちていたとは思えないし、まさに「ドーハの悲劇」で武田を投入したオフトの判断が一瞬頭をよぎった。結果、青木の張り切りすぎたプレーがバランスを失わせ、最初のPKを招いたと言えなくもないだろう。

そしてみっつめは、延長に入った110分の梅崎→香川の交代だ。当然PK戦を想定する時間帯で、当然最初のキッカーと思われた梅崎をなぜ下げたのか。結果を見ても、思い切り蹴った安田と森島が外し、テクニックのある選手は決めている。海外経験もあり、テクニックもある梅崎を下げたのは、つまりはPKに行かずに勝ち切るというメッセージだったのだろうか。

今日の敗戦は「よく頑張った」とは評価したくない。勝てたし、勝たなければいけない試合だった。選手とベンチは自分たちのミス、そしてそこに至るみっつの伏線をもう一度検証して、未来への糧にしてほしい。