【人事の話】コミュニケーション・スキル

ビジネス書や新書のコーナーに「仕事ができる人の仕事術」とか「新入社員のためのビジネスマナー」といった本が平積みになっているのを良く見かけます。どんな状況にも通用する魔法があるとは思わないけど、僕が長いこと人事の仕事をしてきた経験から仕事ができる人の特徴を挙げるなら、「人の気持ちがわかること」になります。

どんなにロジカルに説明されても、相手に対する敬意がなければ、その説明はすんなりと入っていかないですよね。その人のために動いてあげよう、サポートしようと思うかどうかは、相手の気持ちに働きかけるかどうかにかかっています。具体的に言えば、プレゼンの最中に聞いている人がちょっと表情を歪ませたときに、ハッと気づいてわかりやすく言い換える力もそうです。納得できていない部下に、とにかくやれと尻を叩くのではなく、納得して仕事に取り組めるようにもっと話をしてあげるのも同じです。

土曜日に出掛けたクラブイベントで、MC(バンドの演奏の合間のしゃべり)を担当したUmeさんがある曲のときに客に手をあげて左右に振らせました。恥ずかしいのか、手をあげるのをためらっていた女性に、彼はさりげなく「そこ、上げてね」とごく自然に「背中を押した」んです。その近くに、白けて手を上げていない雰囲気の客がいたけど、彼には押し付けませんでした。さすが、プロですよね。

そして翌日、アイスホッケーのMCを担当していたのはフリーアナウンサーで自称「氷上の格闘技の語り部」加藤じろうさん。彼は、イベントに参加した子どもの予想外の反応にも機敏に対応し、パックがちゃんと滑らないという想定外のトラブルにも、せっかくの参加者が不満を持たないように配慮していました。僕は遊びに行っているようでも、ちゃんとビジネスのネタを拾って帰っているんですよ!