【アンフェアSP】テレビ的演出過多

日本のテレビドラマに多くを期待してはいけないのですが、今年の年頭に放送されていた本編の内容がよかっただけに、スペシャルを楽しみにしていました。見終わっての、というより見ている途中からすでに期待が薄れはじめ、惰性で最後まで見てしまったというところです。

本編では唯一、そして最大の不満が、瑛太演じる安藤刑事を一連の事件の首謀者として、篠原涼子演じる雪平夏見に射殺させたことでした。原作を逸脱するのはよくあることとはいえ、つい先日発刊された原作の続編でも雪平の相棒を務めている安藤を犯人に仕立てたのは、視聴率だけを気にするドラマ制作陣の横暴というものでしょう。

今回のスペシャルも、まさにその延長。本編の登場人物を使い回して、しかも意外性のある展開を作り出すために、今度は安本刑事が標的にされます。安藤の幻影を登場させたり、無理やり雪平の元夫(香川照之)と娘(向井地美音)を引っ張り出したり。さらに雪平と三上(加藤雅也)の親和性を強調するために、現場検証の終わった死体の跡に雪平が横たわるシーンの雰囲気は損なわれています。猟奇的な小田切大倉孝二)の登場も、派手な爆破シーンも、単にテレビ的な盛り上がりを増すため、つまりは「CMまたぎ」のような小細工でしかないと思います。もっとストーリーとトリックで魅せる、本来の持ち味が出せなかったのでしょうか。

この作品は、来春公開の映画へ続くということでエンディングでティーザー効果を狙っていますが、このスペシャルを見た後で僕には劇場で見るモチベーションは残っていません。