【上海マスターズ】コトフ―綿貫陽介

ATPのシーズンも終盤を迎え、ここまで戦い抜いて来た選手たちのコンディション維持は難しくなってきているのだろう。ジャパンオープンでも体のあちこちを痛めながら戦う選手が目についたが、上海のコトフと綿貫の試合も壮絶な一戦となった。

ファーストセットはイーブンの展開からタイブレークでコトフが制し、セカンドセットは4-4から綿貫がブレークするという理想的な展開。お互い攻める意識が高く、同時にミスも多い中、なかなか流れをつかみ切れないところで、綿貫が一気に決めるポイントのように見受けられた。

しかし、ファイナルセットはいきなり最初のサービスゲームをブレークされ、続くコトフのサービスではブレークバックのチャンスもありながらキープされてしまう。その次のリターンゲームでもブレークポイントで取り切れなかった綿貫に、もうチャンスはないかとも思われた。

このあたりになると、ふたりの足は止まり、ポイントごとに屈みこんだり足を伸ばしたりして何とか回復を図ろうとする様子も見られ、壮絶感が一気に増す。コトフはフラストレーションを解消すべく大声を出したり、ボールパーソンに高圧的な態度を取っているように見える場面も散見されたが、チェアアンパイアもうまくコントロールし切れず不穏な雰囲気になっていた。

そして4-4で迎えたコトフのサービスゲームで、ゲームポイントをしのいだ後に3ポイントを連取した綿貫がブレーク。続くサービング・フォー・ザ・マッチではダブルフォルトもあってポイントを先行され、コトフにブレークバックのチャンスまで与えてしまったものの、最後は4ポイント連取で振り切った。

勝利を決めた後の綿貫の笑顔は本当にうれしそうで、やり切った感が満載。スタンドの陣営も、やや放心気味になってすらいた。すでに予選から3試合を戦っているだけに疲労も蓄積しているんは明白だが、次戦のブランドン・ナカシマは十分勝てる相手なので、また楽しませてもらいたい。