【ドラマ】ペイン・キラー/死に至る薬

米国で大きな社会問題になっている薬物依存を取り上げ、製薬会社やその関係者を実名で描くドラマ。オピオイド製剤の「オキシコンチン」を製造販売するパーデュー・ファーマ社を舞台に、経営陣やMRの暴走振りが詳細に描かれる。医師に処方することを求めるために贈り物や時には色仕掛けで取り入る姿は、まるでカルト宗教かネットワークマーケティングかというような雰囲気だ。しかも12時間持続すると謳う効果が得られず、その結果として患者は違法な経路での入手に走り、オキシコンチンやそれを購入するための資金を得るために犯罪に手を染めてしまう。

ブレイキング・バッド」では違法薬物の製造が取り上げられたが、こちらは主成分がほぼ麻薬でありながら米国FDAが正式に認可している薬品であり、いわば合法的な麻薬なのだ。しかも、その認可を出した張本人もFDAを辞めてパーデュー社に転職しているという笑えない実態がある。パーデュー社の弁護団には、ニューヨーク市長やトランプ弁護団として名を馳せるジュリアーニが参加しており、敗訴を逃れるために政界との太いパイプによって和解を成立させたことが描かれている。

各エピソードの冒頭には、実際に家族を薬物依存で失った一般の人たちが登場し、思いを述べるシーンがある。そこだけ見ると「自己責任」、つまり依存してしまった人物の弱さもあるのではないかと思ってしまうのだが、本編を見るにつれ、自身の思いだけではどうにもならない部分があることが認識でき、そのような薬品を世に出してしまったことに対する責任問題に目を向けざるを得なくなる。