【映画】バズ・ライトイヤー

キャプテン・アメリカのように頑固一徹なヒーローが困難を乗り越えて任務を果たすストーリーだと思っていたが、背後にあるのは思いのほか深いテーマだった。宇宙に取り残されて故郷に戻れない人たちを救おうとするライトイヤーに対し、当の本人たちはそこに定住することを決めてしまう。北の某国の拉致事件を思い起こさせるような設定だが、彼らをどうするのが正しいのだろうか。

一義的には本人の決断に委ねるべきだとは思うのだが、その場合に失われる大義が後々になって更なる被害をもたらすリスクもある。どちらを選んでも、関係者全員がハッピーになることはなく、わだかまりは残ってしまう。そんな難しい選択を迫られたとしたら、一体どうするだろう。いや、そもそもそんな選択はしたくないと考えるのが妥当なのではないか。そんな究極の場面に直面するライトイヤーは、やはり自分の価値観にこだわってしまう。

この作品の設定は、まったくロジカルではない。どこにそんな資材があったのかとか、生理現象はどう対処しかのかとか、ツッコミどころは満載だ。それでもコミカルでハートフルな要素を交えながら、最後までしっかりとストーリーを見せてくれるのは、さすがにピクサーの実力なのだろう。いろいろ考えさせられてしまうが、見て損はないエンターテイメント作品だった。