【Disney+】ミズ・マーベル E2

途中までは、がっかりした気分だった。「ムーンナイト」に続いて、またしても他のマーベル作品との連動が薄く、MCUらしい世界観に浸れない。そして、妙にラブコメに寄ったような展開に、期待を感じられなくなっていたのだ。しかし、落ちかけた子どもを救うシーンではヒーローらしい見せ場を作り、最後にはカマラ・カーンの家系の一端を垣間見ることができた。この展開なら、他のマーベルヒーローとも絡む余地がありそうだし、何より安心して見ていられる。

ただ、やはり日本人にとって、同じアジアとはいえパキスタンは遠い国だ。文化についてもそれほど理解しているとは言い難いし、「イード」という祭についても聞いたことがなかった。インドやバングラデシュとの関係、つまり作中で「分離独立」と表現される部分については知識があったが、それも表面的なもの。ウルドゥ語の特性やモスクの意味もわからない。そういう意味では、「モスクの理事選挙」という設定は文化を知る上では重要なことで、まさにダイバーシティインクルージョンへの第一歩ということだろう。

カマラ・カーンを演じるイマン・ヴェラーニは、「ブラック・ウィドウ」のフローレンス・ピューに似た印象を受ける。もちろん人種的にはまったく異なるのだが、表情の多彩さや使い分けのあたりに共通項があり、茶目っ気があるところも似ている。それを最大限に引き出しているのは、日本語吹替のキャスティングのうまさだろう。あまりコメディに寄せすぎると安っぽく見えてしまうので、それだけは避けて欲しいところなのだが…