【サッカー】理想のサイドバック

サッカーを生で観戦するとき、僕が注目するのはサイドバックだ。最近は代表の影響か3バックのチームが多いのだが、4バックの右と左を見ているとなかなか楽しめる。いつ上がるか、というタイミングを計り、「ここで上がってほしい」と思うときにオーバーラップを仕掛けてくれるとうれしくなってしまうのだ。

ところが、一方で歯がゆい気分になることがある。それは、前にスペースが十分ある状況でボールを受けたサイドバックが、ドリブルで持ち上がらずに安易なクロスを上げる場合だ。もう昔の話だが、これまでにスタンドでほんとにイライラしてしまったことがある。最初は93年、まだ下部リーグのJFL1部(J1)にいた柏と磐田の一戦を日立柏で見たときの、柏の左サイドは飯田。彼はとにかくアーリークロスに賭けていた。思わずスタンドで「上がれ!」と声を出してしまったほどだ。ちなみにこの試合、柏には帰化前のロペスが、そして磐田には中山ゴンがいるというなかなか興味深い一戦だった。

かつて左サイドにコンバートされたばかりの三浦淳宏は、元ブラジル代表ジーニョに徹底的に上がるタイミングを鍛えられていた。ジーニョにボールが入りキープすると、三浦は上がりを躊躇する。ジーニョがアイコンタクトでアツを呼び込み、はっと気がついたように駆け上がるアツ。こんな光景を僕は三ツ沢で何度もみた。日本代表三浦アツは、このようにして育てられたのである。