【村上春樹】職業としての小説家

村上春樹の「職業としての小説家」は自伝的エッセイという位置づけですが、小説ではないので様子を見ていましたが、知人のハルキストが面白いと評価していたので読んでみました。

彼が小説を書く上でのスタンスやデビューに至る経緯などが語られる中で、「作家に必要なものは(文学賞受賞ではなく)自分が意味のあるものを生み出している手応えであり、その意味を正当に評価してくれる読者」だと書いている点が一番印象に残りました。これはどんな職業にも通じるし、人事に携わる僕にとっては特に重要なことだと感じたのです。

また、「小説の登場人物が自ら語り出したら、作家はそれをただ記述するだけ」という感覚が書かれていますが、これは浦沢直樹のコミックス「Billy Bat」の中で、コウモリのBilly Batがケヴィンを依代として漫画を描かせるのと同じことなのかもしれないとも思いました。作家自身も想定していなかった展開になることは、自分も小説を書いていただけに理解できます。