【NODA MAP】エッグ@WOWOW

気づいたのが遅かったので、劇場で見ることができなかったNODA MAPの「エッグ」。当日券も出ていたようなのですが、さすがに会社帰りに立ち見とか仮設席では辛いので、あきらめました。幸いにもWOWOWで録画中継してくれたので、見ることができたのでした。

「エッグ」という仮想のスポーツをテーマに、昭和史を振り返るような流れでオリンピックや戦争、政治などが絵巻物のように展開します。いつもながら野田秀樹の描く主題には惹かれるのですが、彼の脚本には言葉遊びが多いので、かなりの集中力が必要。休憩なしの2時間超の間、ひたすらセリフを聞き取り、頭の中で意味を再構成するのは簡単な作業ではありません。今回、特に気になったのが、役者としての野田の台詞が聞き取り難いこと。テンションを上げている役柄のせいもあるのでしょうが、なんとなく独り善がりな印象が否めませんでした。

しかし、演じる役者陣は豪華です。ドラマの落ち着きとは裏腹にハイテンションが続く深津絵里、余裕すら感じさせる仲村トオル、伸び伸びと演じている妻夫木聡は、さすがに魅せてくれます。逆に舞台俳優としてはベテランなはずの橋爪功の方が、ややキャラクターに入り切れていない印象がありました。

音楽を椎名林檎が担当したことも、この作品のウリ。ただ、せっかくの椎名の紡ぐうらぶれたトーンの音楽が、野田の饒舌な詞の前に霞んでしまったの残念です。やはり椎名の音楽には、椎名本人の詞が一番合うように思うのです。舞台で鑑賞していたら、また違った印象なのかもしれませんが、テレビでの中継を見る限りでは全般的に消化不良に終わってしまいました。

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