【J1昇格プレーオフ決勝】大分トリニータJ1復帰

かつて応援していた横浜フリューゲルスが優勝とともにチーム消滅となった天皇杯も、弱小地方クラブだった大分トリニータが制したナビスコカップも、もちろん感動した。しかし、今日ほど感情を抑えるのが難しかったゲームは初めてだ。6億円の借金を完済してJ1ライセンスを取得した大分のここまでの道程もそうだが、決勝点を決めた林丈統がタイのクラブをトラブルで退団した後も負傷続きで結果を残せなかったことも、すべてがこの日の結果に集約していた。

ドローなら年間順位が上位の千葉が昇格するというゲームは、千葉が中盤を支配しながらも前線の動き出しでは大分も見劣りはしていなかった。大分の選手にイエローカードが頻発したのは、勝利にかける思いの強さだったのだろう。特に千葉OBでもある村井慎二のかけるプレッシャーには、迫力があった。しかしスコアは動かず、終盤に突入した。

ハーフタイムの時点で、今日のカギは選手交代にあると思っていた。自分なら丸谷を高松に代えることで、森島のセットプレーを高松に合わせることを想定していた。しかし、田坂和昭の選択は木島から林の交代だった。前線での動きを重視した交代は、しかし成功する。DF土岐田を外して高松を投入した直後の林のゴール。一目散にゴール裏サポーターの元に走って行った林の気持ちがうれしかった。

千葉が巨人オーロイを投入すると、大分も宮沢を下げてDF若狭を当てる。そして5分間の長い長いロスタイムが終わり西村主審の手が上がったとき、一瞬とまどったようなスタンド。千葉の選手がバタバタと倒れ伏し、歓喜した大分のスタッフがピッチに飛び込んでゆく。林が再びサポーターの元に走り、「タケ」コールを受けながらチームメイトの輪に戻って行った。現実感の伴わない時間を過ごした僕だったが、心の震えは収まらない。素晴らしい時間をもう少し噛みしめたら、来季に向けた周到な準備をお願いしたい。おめでとう、大分トリニータ