【つれづれノート17】きれいな水のつめたい流れ

銀色夏生のエッセイというか、日記のような文章を綴った「つれづれノート」の17巻「きれいな水のつめたい流れ」が角川文庫から出ています。いったん完結宣言をして再会してからは、ずいぶんペースが上がったように思います。

一時はヒステリックですらあった娘「カーカ」との関係も改善され、恵比寿と宮崎の二重生活も軌道に乗った感のある銀色さん。読者からの手紙も読むようになったそうですし、生活自体も引き篭もり期を脱してかつてのような親分肌な一面を覗かせています。そんな意味で書かれている内容にも広がりが戻り、読んでいて楽しくなります。一時はネガティブになっていたので、読み手までが鬱々とした気分になってしまいましたから…

この人の文章を読んでいると、実の子どもとの関係すら一歩引いているようにも見えるのですが、そうではなく感情的に自分のエゴをぶつけている部分にも気づきます。そしてそれは、反面教師ではないですが、自分にもよくあること。「こういう行動をすると、第三者にはこう見えてしまうんだな」という視点を与えてくれるので、自分を振り返るきっかけになりますね。

http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200905000540