Stingの新譜"If on a Winter's Night"は、ちょっと趣を変えたコンセプト・アルバムです。「冬」をモチーフに、しっとりとした環境音楽風のメロディが時を満たしていくような、静謐さを備えた音楽を味わうことができます。一見北欧風なジャケットですが、アイルランドやスコットランドのような「英国の田舎」を扱っているのでしょうね。
クリスマス・キャロルのような宗教的な曲や伝統歌謡のようなものを編集したものにオリジナル曲も交えた構成になっていますが、全体を流れる統一感は十分です。歌詞の中には「Gloria」「Gloria in excelsis Deo」「Hallelujah!」などのフレーズが繰り返し聞こえてきたときには、「このアルバムを、あえてスティングが作る必要があるのか?」と感じてしまいました。
ところが、まるでソプラノサックスのようにジャジーなソロを奏でるリード楽器が、実はバグパイプであることに気づいたときに、スティングの凄さが身に染みてわかったのです。細部にもこだわりを感じさせることに気づいてしまうと、聞くほどに味が出てくる一枚なのです。
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