【人事の話】面接中に帰った応募者

僕の17年にも及ぶ人事のキャリアの中で、採用面接している最中に帰ってしまった応募者がふたりいます。正確に言うと、ひとりは面接をはじめようと僕が応接室に入った途端に「私の考えていた職場とは違ったみたいなので、失礼します」と丁寧に述べて退室して行ったんです。「せっかくお越しいただいたので、少し説明だけでもお聞きになっては?」と勧めましたが、ダメでした。当時、僕は化粧品などを扱う会社にいたんだけど、その会社はいわゆる「訪問販売」のような形態だったこともあって、オフィスの雰囲気を垣間見て引いてしまったようです。

もうひとりは面接の途中で、これまでのキャリアと志望職種が違っていたので、その部分を掘り下げて聞こうとしたら「馬鹿にされた」と思われてしまったようです。かなり不快感を表して、出て行ってしまいました。

面接はお見合いみたいなもので、お互いに相手のことを知り合う機会。だから「選考する」ということをあまり意識してしまうと、応募者が欲しかった情報を伝え切れずに終わってしまう場合があるんだよね。せっかく来て欲しい候補者なのに、会社の説明を十分できなかったりという失敗もときどきあります。中には、面接官は「選んでやる」ものという意識の人もいるけど、同じ人事の立場でも、そういう人はちょっと違うんじゃないかと思います。