【EURO08】魔力は通じず

後半の終盤にゲームが動くことが多く、それによって盛り上がってきた今回のEURO。その象徴ともいえる「ミラクル・ターキー」トルコは、しかし準決勝ではドイツ1-2から同点に追いつくのが精一杯だった。この試合のトルコは累積警告と負傷によって、交代可能なフィールドプレイヤーが3人しかいないという瀬戸際の状況だっただけに、この粘りだけでも驚異だった。最後は同点にされるきっかけを作ったドイツのDFラームが意地の決勝ゴールを文字通り叩き込んで、最後は必ず出てくるドイツがファイナルへの切符をつかむことになる。

そしてスペインは、もうひとつの魔力「ヒディング・マジック」のロシアを迎えた。ロシアはオランダを破った勢いがどこかへ消えてしまい、攻めにも守りにも中途半端な入り方。一方のスペインも、ここまで得点王のビジャがFKを蹴った際に足を負傷し、セスクとの交代を余儀なくされる。ところが、結果的にセスクの投入で中盤が機能しはじめるのだから、ツキもスペインにあった。1-0の後半24分、スペインを率いるルイス・アラゴネスはエースのフェルナンド・トーレスとシャビを下げ、グイサとシャビ・アロンソを投入する。ロシアが攻めに転じるとみて、グイサにその裏を狙わせる戦術はピタリとハマった。ヒディングのマジックは、老将アラゴネスの采配の前にはなす術がなかったようだ。

さて、これでファイナルはドイツとスペイン。ゲルマン魂か無敵艦隊か、どちらも攻撃陣が好調なだけに、おもしろいゲームが期待できそうだ。ところで、WOWOWのゲスト解説で現地入りしている岡田武史・日本代表監督だが、どうやら準々決勝までの試合もテレビでかなりチェックしているような口ぶりだ。バーレーン戦を控えた彼に、そんな時間があったとも思いたくないのだが…