【国立博物館】京都五山・禅の文化展

上野公園の東京国立博物館で開催されている「京都五山・禅の文化展」を鑑賞してきました。展覧会のタイトルにもある「京都五山」についてまず解説があり、南禅寺が「五山之上」つまり別格として扱われているそうです。意外だったのは、あまり名前が知られていない相国寺が第二位に位置づけられていたことですが、観光地としても有名な金閣鹿苑寺)・銀閣慈照寺)は相国寺の境外塔頭とのことで、相国寺の施設だということは知りませんでした。

さて禅の考え方は知っているようでもほとんど知識がないのが実情ですが、何かを祀るよりも自分の内面に悟りを見出すことが究極なので、本来的には偶像崇拝はないそうです。しかしながら、修行のための写経のような感覚で仏画を描いたり、彫刻を作り上げるということはあったのでしょう。禅寺にも、立派な仏教芸術が残されています。

今回の展示は美術というよりも博物的な視点によるものですが、高僧を描いた木工彫刻の写実性には驚かされます。あまりに活き活きとした彫刻を見て感じたのは、これらの作品は当時の日本人の体格から考えれば「等身大」だったんだろうなということ。ただ、顔は張りがあってツヤのある表情ですが、禅宗の僧ということを考えても、そんなに栄養はよくなかったのではないでしょうか。

宗派内の人事異動で寺を去る高僧の姿を留め置くために作られた彫刻も多いようで、純粋な意味での偶像崇拝ではないにしろ、実在の人物の代わりとして崇めるということではあったのでしょう。いろいろな意味で、考えるヒントをつかめる展覧会でした。禅の考え方をもっと学べば、インドのヨガやハワイのフラにつながるような何かを見出せそうな気がします。

http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=4227