【NBA】ジャズのドラマは終わらない

本拠地ソルトレイクシティに、ゴールデンステート・ウォリアーズを迎えて先勝したユタ・ジャズ。接戦の好ゲームとなった第2戦の3Qに、僕がちょっと目を離していた隙にデレク・フィッシャーが姿を現しました。フィッシャーは第1戦を「個人の事情」で欠場し、この日の先発もルーキーのディー・ブラウン。ところがブラウンは、序盤にチームメイトの巨漢・オクァーにのしかかられるように倒れて首を痛めて退場していました。

ジャズはキリレンコをガード的に使ってしのいでいましたが、そんな場面でフィッシャーが突然アリーナに帰ってきたのです。実は、娘さんがニューヨークで目の手術を受けていたそうで、無事それが終了して駆けつけたのでした。日本では仕事を優先しそうな気もしますが、アメリカでは家族優先が当たり前。ジャズ・ブルーのTシャツで染まったアリーナは、フィッシャーの帰還をスタンディング・オベーションで迎えました。そしてチームメイトばかりか、ウォリアーズの選手までもが彼を暖かく迎えてくれたのが印象的でした。

そして何の準備もないままコートに登場したフィッシャーの表情は、明らかに良い意味で高揚していました。いつもの不敵な微笑ではなく、この場にいることを誇らしく思っているという表情だったのです。そして、もつれた終盤。2点ビハインドの場面での20秒タイムアウトから、ジャズは逆転ではなく同点を狙いに行き、デロン・ウィリアムスがプレッシャーを受けながらもペネトレイトしてショットを決めます。

迎えたオーバータイムではディフェンシブになった両チームでしたが、試合の行方を決定づけたのは切り込んだウィリアムスが外に開いたフィッシャーに出したパスから、フィッシャーがこの上なく美しい放物線で決めたスリーポイントでした。ファーストラウンド土俵際の2連敗から立ち直ったジャズですが、ここに来てこんなドラマを見せてくれるということは、まだこの物語は終わりを迎えそうにはありません。