【人事の話】採用面接・締めの質問

中途採用の面接をするとき、ひと通り質問を終えると応募者に質問がないかどうか尋ねた上で、締めにたいてい2つの質問をします。ひとつは「差し支えなければ、現在のお給料を教えていただけますか?」で、本当は希望給与額を聞けばいいのですが、日本人はそういう直接的なことを答えない傾向があるので、結局はこの質問をするしかないのです。

そして、もうひとつの質問が「入社していただくとすると、いつ頃からを考えていますか?」。これはもちろん、現在勤務している会社を退職する手続きを滞りなく済ませて、時には未使用の有給休暇を消化した後で入社できるタイミングを知りたいわけです。しかし、実はもうひとつ隠れた意図もあるのです。

それは「どれほど転職を真剣に考えているか」ということ。「いつ頃から」の質問をした場合に、転職を具体的かつ真剣に考えている応募者なら、「現在の上司に伝えているかどうか」「有給休暇の消化状況」「就業規則に定められている申請期間」「賞与の支給対象期間」などを簡潔にまとめた上で、希望時期を答えることができます。でも、「たまたまいい募集を見かけたからノリで応募してみた」ようなケースでは、まず口ごもってしまいます。「だいたい1ヶ月くらい」というようなあいまい返事の場合は就業規則や有給休暇についてさらに聞いてみると、「あ、そうですね」と明らかに言われて初めて気づいたという表情をしてしまいます。

こういう応募者にオファーを出しても結局引き留められて転職できなかったり、入社時期が何ヶ月もずれ込んだりするので、人事担当者は採用に慎重になりますよ。