【大原美術館】ハコもコレクションもいいけど

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大原美術館は、倉敷の事業家だった大原孫三郎が設立した私立の美術館です。先日、国立近代美術館で開催された「モダン・パラダイス展」にもコレクションが貸し出されていましたが、西洋美術の所蔵に関してはそれなりのものがあります。倉敷の「美観地区」と呼ばれるエリアに位置し、蔵の街としての観光の中心的存在といえるでしょう。

コレクションは実に幅広く、エル・グレコあり、印象派あり、そしてカンディンスキーマティスまで。特に印象に残ったのはモネの「睡蓮」ではなく、その隣りに展示されていた「積みわら」でした。刈り取られた麦わらが積まれているところにもたれる女性とその子どもが、日光を受けてわらに紛れんばかりの様子を描いています。夏の日差しの強い日に、僕もこんな光景をみたような記憶がよみがえりました。

エル・グレコにしては登場人物の表情が柔和な「受胎告知」や、ここの所蔵の中心である児島虎次郎の「ベゴニアの畠」も印象に残りました。絵画だけでなく陶磁器や彫刻などもありますので、その落ち着いた建築のたたずまいと合わせてゆっくり楽しめます。

ただ、ハコ(建築)とコレクションは上述のように素晴らしいのですが、いかんせん観光地なので、見学者はほんとうに美術に興味がある人ばかりではありません。他の美術館に比べても話し声が大きく聞こえるし、人の流れや作品を見る際の立ち位置など、気になる人にとってはストレスが溜まると思われます。美術館サイドでも張り紙や係員の配置で気を配ってはいるのですが、難しいところなのでしょう。

http://www.ohara.or.jp/200606/jp/menu.html