【人事の話】ホワイトカラー・エグゼンプション

最近新聞やテレビを賑わせている単語に、「ホワイトカラー・エグゼンプション」があります。これは、ある意味裁量労働制の拡大版ともいえるもので、時間で生産性を測ることが困難な事務職は残業の対象から外して、成果で賃金を払うものです。夕刊紙などは、おもしろおかしく「残業が消滅する」「残業代もリストラ」というような表現を使っていますね。

人事的にいえば、これは決して企業の論理で残業代をカットしようとか、無理やり生産性を上げさせようというネガティブなものではありません。現実問題として、基本給が同じふたりの社員がいて、Aさんは能力がないから残業を月50時間しないと課題を達成できないけど、Bさんは就業時間内で終えることができるとすると、収入でAさんの方が上回ってしまいます。こういう問題は実際に発生していて、それを不満に思う社員も多いのです。

また能力の高低だけではなく、いわゆる「生活残業」の問題もあります。効率よくこなすことができるのに、残業代を稼ごうとしてわざとペースを落としたり、時間中にムダ話をして残業したり。こういう不公平を解決するには、ホワイトカラー・エグゼンプションは有効なはず。ところが日本のマスコミは「弱者保護」の名の下に、結果としてダメ社員の肩を持つようなことをするんですよ。

ちなみにエグゼンプションとは「適用外」と言う意味で、外資の人事ではよく使います。例えば「非時間管理」つまり残業がつかない社員を「エグゼンプト」、つく社員を「ノンエグゼンプト」と呼びます。ただ、それ以外の意味にも使うので、単に"He is an exempt."と言っても、"Exempt of what?"なんて聞かれることもあるので要注意です。