【小説】十二番目の天使

僕は知らなかったのですが、この本は5年前にかなり売れていたらしいです。実は僕の会社のアメリカ本社でこの本を題材にリーダーシップ教育をする構想があるらしく、そのために日本での出版状況を調べたことから興味を持ちました。著者のオグ・マンディーノアメリカ人で、人生哲学や成功の秘訣のような内容をフィクションの中に巧みに織り込んでしまうのが得意技のようです。

「十二番目の天使」は、妻子を事故で失ったことで生きる希望を失くした男が、リトルリーグの監督を引き受けることろからはじまります。ドラフトで最後まで選択されなかった選手・ティモシーは、野球が下手なばかりか、満足な道具さえ持っていません。それでも「あきらめない」気持ちは人一倍強く、彼の努力はいつしかチームメイトや観客までも惹きつけていくのです。

エッセイとして書けば胡散臭い成功哲学も、こんな素敵な創作として表現されると、心に自然に落ちていきます。読者を引き込む展開力はさすがで、電車の中で読んでいたらついつい胸に熱いものがこみ上げてきてしまいます。文章は平易だし、260ページほどで一気に読めますので、秋の夜長のお供にオススメです。

http://www.kyuryudo.co.jp/book2/12th_angel.htm