【バーレーン戦】ジーコ戦術の勝利

はっきり言って、ジーコにちゃんとした戦略があるなんて思っていなかった。それだけにバーレーン戦の周到に用意された戦術は素晴らしいし、我が目を疑うようなものだった。

この日の日本代表の攻めを見ていると、3-6-1のシステム以外にも明らかに今までになかった特徴が感じられた。それはサイド攻撃、それも「サイド攻撃を本気でやらないこと」だ。アレックスお得意のひとり突破も実はサイド突破のためではなく、単に3人に囲まれた密集を抜けるために試みられたもので、右の加地ともどもサイドを深くえぐるシーンはほとんどなかった。なぜか? バーレーンの守備には高さがあり、日本の1トップは柳沢とくれば、理由は歴然だ。クロスを入れても点になる確率は低いのだから、サイドは起点にするだけで、厚い中盤のパスで崩す方が可能性がある。

そして、僕はこのタフな試合でヒデの前線での動きがキーになると読んでいたので、小野の故障によりボランチで起用されたことは残念だった。しかし、ここにもジーコの戦術はあった。俊輔に厳しいマークが集まる中、ヒデは比較的フリーにボールが持てたのだ。そしてそれは、ヒデが攻めに絡んでも同じだった。

ジーコの戦術などではなくたまたまだ、いや選手の成長だと言う人もいると思う。とは言え、あのジーコがあそこまで必死に勝とうとしていた姿を見ても、たまには誉めてあげてもいいと思う。(同じ鹿島組ではあるが)柳沢を選択して鈴木を切ったことも、彼にしては難しい選択だったはずだ。次節、サスペンションはいまさらどうしようもないので、3-5-2に戻して小笠原、稲本、三浦アツの奮起に期待しよう!