【ポルトガル-オランダ】主役はレフェリー

イエロー16枚で退場者が2人づつの4人とは、それだけでも記録ものだ。そしてロシア人の主審、ヴェレンティン・イワノフは完全にコントロール能力を失っていた。カードを出せばよい状況は通り越していた、あちこちで小競り合いがおきるので、「公平に」裁くためにすべてにカードを出す。そんな行為からは何も生まれない。主審は時には叱り、特にはなだめすかして笑顔を見せるものだ。日本人としてワールドカップの笛を吹いている上川徹氏も、この点には非常に気を遣っている。

選手はプレーに集中できない状態に陥ってしまい、ちょっと接触するだけで小競り合いが起きる。オランダのFWカイトは、ゴール前で再三チャンスをつかみながら、集中し切れない中途半端なプレーで同点機を棒に振っていた。そんな中でもジュビロ磐田をも率いたポルトガル監督のブラジル人、ルイス・フェリペ・スコラリは老獪だった。ポルトガルの選手が興奮していれば身を挺して止め、不利な判定には派手なボディアクションで抗議したかと思えば、しっかり交代の手配は進めている。さすがにマリーシアを理解しているのだろう。

それにしても、こんな試合を見せられたフランケン・シュタディオンの観客はたまったものではなかっただろう。勝ったポルトガルサポーターも、煮え切らない思いを抱いたのではないかと思う。それに、オレンジのユニフォームを着ていないオランダは、それらしくなく、凄みがなかった。白と青のセカンドユニフォームでは、今大会ボロボロだったセルビア・モンテネグロを彷彿とさせた。