【bjリーグ】東京アパッチを総括する

日本発のプロバスケ、そして日本初の屋内プロスポーツとして昨年11月に開幕したbjリーグ。開幕戦の東京-新潟に4,000人を集めたことにも、「日本でこんな空間が実現できたのか」という感慨を持ったが、プレーオフに7,461人を動員し、内容自体も白熱して素晴らしい盛り上がりとなったことは驚き以外の何物でもなかった。リーグの公式サイトでも河内コミッショナー自身がそう感じたと書いているが、バスケファンは鳥肌の立つような感動を味わったことだろう。

そのプレーオフがホームアリーナで開催された東京だったが、ブースターの盛り上がりでは大阪、新潟、仙台に遅れをとった。そのことを批判する声は大きい。ダンスのレパートリーが少ない、MCが目立ちすぎ、ブースターの数が少ない・・・ 加えて、バスケの質が高くないとも。

僕は東京のマーケティング戦略は「レベルの高いバスケ」ではなく、「魅せるバスケ」だったと思っている。残念ながら、バスケに詳しいコアなファンを相手にしてビジネスとして成り立つ環境ではないのだ。バスケを見ることを「クールでカッコいい」と思うセグメントを狙わなければ、チーム運営はできないはずなのだ。だとすればヒップホップをベースとして、着ぐるみのマスコットを置かずにMC Umeを起用したのも、戦略に間違いはない。そう考えれば、Umeは単なるMCではなく、マスコットを兼務していたのだから、他のチームとの露出が違っても当然だった。ダンスにしても、僕はMBANFLも現地で観戦したが、本格的なダンスなど踊ってはいないし、パターンも多くはない。なぜなら彼女たちは「チア」だからだ。だから、J-rome(アパッチのダンスチーム)の位置づけもより本場に近いものなのだ。

ひとつだけ苦言を呈するならば、タダで子どもやその親を招待するのも長期的には意味があるという理屈もあるだろう。しかし、「クールでカッコいい」空間に、ゲームに飽きた子どもや試合を見ない親は似合わない。安易な営業に走らずに、チームコンセプトに合った集客を狙ってほしい。今回のプレーオフではじめてbjを、バスケを見たという話を多く聞いたということは、まだまだ有明に呼べる潜在層は無尽蔵に存在するのだから。