【グラミー賞授賞式】コロナ禍からの復活

第65回グラミー賞授賞式がLAのクリプトドットコム・アリーナで開催され、久しぶりに盛大な盛り上がりを見せる会場の様子が届けられ、コロナ禍からの復活を宣言しているかのようだった。主要な賞から遠ざけられていると話題のビヨンセは、4部門で受賞して最多受賞を記録する一方、ハリー・スタイルズ、アデル、リゾも受賞したが、特にリゾがスピーチでビヨンセへの思いを爆発させたのが印象的だった。また、最優秀楽曲省を受賞したボニー・レイットのとまどった表情も記憶に残った。本当に、自分だとは思っていなかったのだろう。

今年はヒップホップが誕生して50周年とのことで、スペシャルな企画も用意された。ヒップホップのレジェンドたちが次々に現れてパフォーマンスを繰り広げるのだが、このメンバーがこれしかない持ち時間でも出演しているところが、グラミー賞授賞式の持つ特別さなのだろう。懐かしいところではRun-D.M.C.も登場。俳優としての記憶が強いLLクールJやアイスTも、衰えないパワーでステージを盛り上げる。「ロー&オーダー性犯罪特捜班」の印象が強いアイスTのヒップホップは、かえって新鮮だった。

メアリー・J・ブライジのパフォーマンスも圧巻だったが、スティービー・ワンダースモーキー・ロビンソンに至っては年齢を考えると信じられないほどパワフル。どうしたら、あの声が出てくるのか不思議なほどだ。しかしながら、今回は追悼コーナーもなかなり時間を取っており、ジェフ・ベックを筆頭にオリビア・ニュートン・ジョンやアイリーン・キャラといった名前が並び、最後には髙橋幸弘の遺影も投影された。YMOのファーストアルバムに衝撃を受けた僕にとって、彼への敬意が示されたことには誇らしい思いがあった。