【北斎展】様式化された「印象」

上野の東京国立博物館・平成館に北斎展を見に行ってきました。これだけの作品を集めたのはすごいとは思ったけど、多すぎるので全部まじめに見たら疲れるでしょう。実際、まじめな日本人は結構ちゃんと全作品見て回ってました。北斎の作品はディテールまで見たくなるので、目の高さに展示してあるのは正解でしょう。だけど、あれだけの混雑の中、低い位置に展示してあるということなので、じっくり見るのはかなり困難です。

見所は、神奈川沖浪裏に代表される波、滝、水面などを描いた「水」の様式美。もともと中国画法の影響を多分に受けているので、様式化された説明的な描写はお手のもの。そこに、波や滝のような、一瞬の飛沫を描き留める印象派的な手法がプラスされます。僕が、これだけ並んだ作品を見て気づいたのは、そのような「印象」を、北斎流の様式に置き直しているということ。そのときそのときの印象ではなく、恐らく彼は自分の引き出しにあるパターン化された様式に、それぞれの印象を当てはめていったのではないかと思いました。

そんなことを考えながら見ていくと、僕の好きな版画家トーマス・マックナイトに通じるものがあるのではないかと気づいた。マックナイトも、世界中の風景を自分の様式の中に取り込んで描いている。これこそが、北斎作品が見るものに与えてくれる安心感なのではないでしょうか。

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