【国立新美術館】ビュールレ・コレクション展

国立新美術館の「ビュールレ・コレクション 至上の印象派展」では、印象派を中心に多彩な絵画を楽しめます。スイスの実業家であるエミール・ゲオルグ・ビュールレが蒐集した作品を美術館として展示していましたが、盗難事件の余波もあって2015年に閉館してしまい、2020年にはチューリヒ美術館への移管が決まっています。そんな事情もあってか、保存状態があまりよろしくないように見えるのは残念です。

すべてというわけではありませんが、ビュールレはその画家の画風とは異なる作品を意識的に蒐集したのではないかと感じました。ただ、作風が異なるとは言っても、これらの
作品においても、いかにもその画家らしい痕跡が見られのです。
セザンヌの人物画のテキスタイルにサント・ヴィクトワール山のようなごつごつしたタッチを感じたし、風景画が有名なコローの人物画
ピカソの具象画で
同様の気づきがありました

プライベートコレクションには、その個人の色が強く出ます。僕が好きな美術館に米国LA郊外のパサデナにあるノートン・サイモン美術館がありますが、このコレクションは「いわゆる名作ではないが、その画家らしさを感じられる作品」ばかりなのです。秋にはワシントンDCのフィリップス・コレクションが来日するので、その傾向も感じてみたいと思っています。