【人事の話】企画と開発の狭間で

旭川医大NTT東日本がソフトウエアの開発をめぐって互いに提訴していた係争案件で、札幌高裁が旭川医大のみに損害賠償支払いを命じるという判決がありました。一審ではNTTにも8割の過失を認定して双方に賠償を命じていたのですが、二審では旭川医大に100%の責任を認定したという内容です。


この記事によると、どうやら仕様を確定した後にもクライアントである旭川医大が追加開発を求め続けた結果、納期に間に合わなかったということのよう。ITproが転載した日経コンピュータの記事なので、ターゲット読者はプログラミングを組む側に近いでしょうから、そこに刺さる記事を書いているであろうことは推察できます。

いずれにしても、僕の会社でもB2Cのサービスを開発するのに、企画側と開発側の意見の食い違いはよく発生します。最終的にそれで開発が遅れた場合に、単に「開発遅延」という事実だけに目を向けてしまうと、責任の所在が曖昧になってしまうのです。企画側が仕様書や遷移図を固められなければ、開発がプログラムを書けないのは当たり前。たとえアジャイル開発であっても、それですべてをカバーできるはずもありません。

どこの業界でも、「開発遅延」で済ませてしまうと問題の本質や経緯が見えにくくなってしまうのが、この事例でいっそうよくわかりました。「開発遅延」というちょっとした一言で、エンジニアが悪者になってしまうのは避けなければなりませんね。