【WBC】侍ジャパン準決勝へ

1次ラウンドと2次ラウンドを6連勝で乗り切った侍ジャパンだが、その戦いにはいくつかの勝負の綾があった。すでにメディアでも語られているが、オランダ戦で9回に牧田ではなく則本を投入したこともそのひとつだ。小久保監督は「特に理由はない」と語ったようだが、延長突入を想定していたからではないだろうか。牧田で追いつかれた場合、その後に投入する投手の選択肢はかなり難しい。則本で抑え切れればそれでよいし、サヨナラさえ防げれば延長で牧田なら大崩れはない。星が並んだ場合に失点率での争いになることを考えれば、考えられる打ち手だと思う。

次のポイントは、キューバ戦での内川の代打起用だ。結果的には決勝点となる犠牲フライを放ったのだが、「ラッキーボーイ」でもある捕手の小林をここで代える決断は難しかったはず。しかし、この後に牧田投入を決めていたとすれば、西武でバッテリーを組んでいる炭谷を使えるだけに何の問題もなかったのだ。

そして、その内川の犠牲フライ。流し打った打球はラインに向かって切れてゆくコースを取り、ライトが捕球した位置はファウルゾーンだった。つまり、キューバのライトが捕球さえしなければ、ファウルとなって3塁ランナーはホームに帰ってくることができなかった。日本の高校野球だったら、あれを捕球してしまった選手は監督に厳しく叱責されることだろう。

さらに、この犠牲フライの興奮が冷めやらぬうちに、山田がスタンドに打球を放り込む。これもまた、野球を知り尽くした選手ならではの好プレーだったといえるだろう。