【映画】シン・ゴジラ

僕の周囲では賛否両論真っ二つだった「シン・ゴジラ」を、ようやく鑑賞する機会があった。日本の政治家や政府の体制を揶揄するような長い長い前段を耐えれば、理系的合理性を追求した「ヤシオリ作戦」に心踊らされる。日本らしさを最大限表現することで、戦争や安全保障、災害からの復興といった重要なテーマに視座を提示したことは、大いに評価すべきだろう。

ただ、キャスティングはいかにも日本映画らしく、一国を与る役柄としては物足りない陣容。演技も、演劇的で日本映画伝統の手法にあえてこだわってしまったように見え、国際的なアピールは難しい出来になってしまったことは残念だ。

以前、セゾングループだった西洋環境開発が出資して製作した「帝都物語」も東京のカタストロフを描いていたが、後発デベロッパーの野望が垣間見えて興味深かった。本作も似たようなカタストロフだが、首都再構築という大義がある点が大きく異なる。庵野監督の国家構想なのだろうか。クレジットを見ても防衛庁自衛隊が全面的に協力している印象で、穿った見方をすれば「自衛隊のPR映画」のようですらあった。