【映画】栄光のランナー

スカパーオンデマンドの先行試写会で見た「栄光のランナー/1936ベルリン」は、スポーツ映画というよりは人種差別問題にフォーカスを当てた硬派で見応えのあるドラマでした。1936年のベルリン・オリンピックはヒトラーとナチの宣伝に使われたと言われる大会ですが、そこに米国代表として送られた黒人とユダヤ人を含む陸上短距離選手を描いています。

主役は100m、200m、走り幅跳びと4×100リレーで金メダルを獲得することになるジェシー・オーエンス。実物は非常に知的な印象のある人物ですが、この作品では人間味あふれる設定になっています。しかし、僕にとってはジェシー以上に印象に残ったのは、ブランデージとゲッベルスの政治的な駆け引きでした。

エイブリー・ブランデージは後に国際オリンピック委員会IOC)の会長となりますが、親ナチス的な言動をしていたとされています。この作品では、裏でナチスと通じていながら政治力によって宥和を見出そうとするジェレミー・アイアンズの演技が秀逸です。ヨーゼフ・ゲッベルスナチスの宣伝相として大会運営に圧力をかける冷徹さを、バーナビー・メッチェラートがうまく演じていました。8月11日からの全国公開ですので、お楽しみに!