【J3東京U23―大分】クロージングの駒が揃った

夢の島競技場のメインスタンドに座って最初に感じたのは、ピッチの狭さ。特に横が短いように感じたので、スペースが生まれずにセットプレー勝負になるのではないかという予感がした。その意味では、キム・ドンウクとダニエルがスタメンに名前を連ねたのは高さ対策なのかもしれない。

前半に失点したのは、大分にとってよい展開だった。序盤に点を取ると、途端に自信を失って逆転を許す。だから、逆にキムのゴールですぐに追いつき、狙っていたであろうセットプレーでダニエルが決勝点を決める。まさに、片野坂監督の読み通りとなった。

選手交代もよかった。八反田とキリノは1点を追う場面でも効果はありそうだが、リードした局面でクローズする、つまり逃げ切るための駒としても最適だ。キリノは戦術をしっかり理解し、ボールキープに腐心していた。八反田もボールが収まるので、安心して見ていられる。そして、90分プレーするにはフィジカルに不安があるダニエルを外して山口を投入した。その直前には松本怜を含めて5バックのようになっていたが、山口の投入でDFラインは落ち着いた。


大分 2-1 FC東京U23(得点:キム、ダニエル/田邉)

<GK>
上福元 :5.5 もう少し落ち着いて欲しい

<DF>
岩田  :6  縦の突破には精彩欠くも無難にプレー
鈴木  :5.5 前と横に引っ張られ過ぎ
ダニエル:6  攻撃参加は意識して抑えた
福森  :5.5 連携にズレ

<MF>
松本昌 :6.5 相手DFを引きつけ献身的にプレー
姫野  :5.5 パスが前を向かない
松本怜 :6.5 久しぶりにサイド突破で貢献
清本  :5  90分プレーを意識してか抑え目

<FW>
キム  :7  攻守に貢献し1ゴール
後藤  :5.5 独りよがりなプレー目立つ

 <SUB>
八反田 :6  ボール収まり安定
キリノ :6.5 戦術理解に優れ可能性感じる出来
山口  :6  守備に安定感

<監督>
片野坂 :7  今日はすべてがハマった

先日の試合で「自分は放り込むサッカーはしない」と言い切った片野坂監督だが、キリノを投入してからは上福元にゴールキックを前線に蹴るように指示していたように見えた。あの発言がいわゆる「三味線」なら、それでよい。キリノと高松がいれば、トップに当てる選択肢を採らない手はないのだ。

運営に関して2つ問題を提起したい。夏の暑い日の試合では、選手だけでなく観客の水分確保も重要だ。試合開始45分前にほとんどのペットボトルが売り切れている自動販売機では足りない。そこまで気を配るのは、主催クラブの責任だろう。そして、東京U23は控え選手がGKを含んだ3人だけだったが、これでは選手も無理をしてしまうだろう。J3のチーム構成は手探り状態だが、選手の健康管理のためにもこの点も考え直していただきたい。