【人事の話】何でもかんでもインターン

「倫理憲章」と呼ばれる、いわゆる就職協定。安倍首相が要請していた活動期間の後ろ倒しを経済団体が受け入れたことで、2016年度採用に向けての変革が始まっています。僕の会社もそうですが、経済団体に加入していない企業には何の強制力もなく、加入している企業でも例年「協定破り」が横行している現状で、この変更はどんな意味があるのでしょう。

実質的にはマイナビリクナビといった就職情報メディアの情報開示、つまりサイトオープンが後ろにずれ込むので、その影響が一番大きいですね。そのため、人事部門への業者の売り込みは「早期の情報開示」「母集団形成」にシフトされてきており、ほとんどがインターンシップに関するものになっています。インターンシップは、本来学生の身分のままで仕事を体験すること。ところが、無給でのアルバイトや企業説明会の隠れ蓑としても、この名称が使われています。

インターンシップ企画を電話で売り込んでくる営業担当者に内容を尋ねても要領を得ず、呪文のように「インターン」という単語を繰り返すだけのこともあります。そんな押し売りのようなビジネスに乗っかるくらいなら、大学のキャリアセンターとの関係構築に注力した方が確実に効果はあると思います。学生サイドにも、「インターン」という実体のはっきりしない亡霊に踊らされて欲しくはないですね。