【Bunkamura】アントニオ・ロペス展

東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている「アントニオ・ロペス展」を、あまり期待せずに訪れましたが、これがとても素晴らしい内容でした。公式サイトによれば、スペインの画家であるアントニオ・ロペスは「その卓越した技術と観察力によってリアリズムを追求しながら独自の世界を描き出している」とのこと。しかし、彼の作品をリアリズムにカテゴライズしてしまっては、本質を見失うように思います。

この展覧会を体験すると、意図的かどうかはわかりませんが、彼の作品が宗教画や印象派フェルメールピカソ、ブラックらの多彩なアプローチを用いて、自らの視覚体験を再構築していることが理解できます。描く対象がビルなど人工的なものだからリアルに見えるものの、彼が扱おうとしている主題はもっと感覚的だと感じたのです。

終盤になると、ちょっと生々しい彫刻が登場しますが、前半の絵画を見ていれば決してエロいイメージにはならないと思います。絵画は次にどんなアプローチの作品が出てくるか、わくわくしながら鑑賞することができました。僕が一番気に入ったのは、マドリードの庭園「カンポ・デル・モロ」を描いた作品で、印象派のようなタッチで描いた庭園の緑の先に街並みが見える風景を生で見たくなりました。

http://www.antonio-lopez.jp/