【ブリヂストン美術館】ドビュッシー、音楽と美術

東京・京橋のブリヂストン美術館で始まった「ドビュッシー、音楽と美術」は、「印象派と象徴派のあいだで」という副題にもあるように、音楽と美術の同時代的な流れを見せようとしているようです。音楽と美術の根幹に同質なものがあると感じている僕にとっては、キュレーターの意図と見せ方に興味を持ちました。

しかし、訪れてみた印象としては、率直なところ不完全燃焼でした。だいたい、夏休みのこの時期、東京駅にほど近いこの美術館の客層は小中学生と観光客なのです。こんな通好みの展示に込められた深い意図を感じようとする人が、どれほどいたことか… そして「音楽」についても、BGMを流すわけでもなく、あくまで絵画に描かれたものが中心です。この展示内容なのであれば、ドビュッシーをキーワードにするのではなく、ジャポネスクとの関わりや「世紀末」という切り口にした方が妥当だったのではないでしょうか。カンディンスキーらの抽象画が音楽をベースにしているのは知っていますが、ドビュッシーでは括れない気がします。

そんな中で興味を持ったのは、アンリ・ルロールの作品。採光をとらえながら室内を描き手法は、ある意味フェルメールに似ています。しかしながら、フェルメールほど意図的ではなく、また国立西洋美術館で「北欧のフェルメール」と評されたハンマースホイほど無機質でもない風景が、とても上品に描かれていました。

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