【映画】オーケストラ!

WOWOWで放映された映画「オーケストラ!」。フランス製作でロシアを舞台に描かれたこの映画の原題は「Le Concert」ですが、恐らくここでは「コンサート」ではなく「協奏曲」の意味です。ボリショイ管弦楽団の元指揮者が、かつての楽団仲間を団員に偽装してパリ公演を目論むという内容で、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲がモチーフとなっています。

パスポートもビザもないニセ楽団員が、偽造パスポートでモスクワ空港から出国し、パリで勝手気ままに行動してしまうあたりはロシアというか旧ソ連をコミカルに描いているのですが、ある意味フランスがロシアを見下しています。背景にはブレジネフ共産党体制の圧制やソ連でのユダヤ人迫害なども描かれており、主人公の指揮者とフランス人ヴァイオリニストの過去にも影響を及ぼしていますが、あまりシリアスな作りではないので、気楽に見られます。

パリ公演のシーンでは、最初はチューニングも合わないまま、ぶっつけ本番でヴァイオリン協奏曲がスタートするものの、途中からは素晴らしい圧巻の演奏シーンとなります。ただ、サウンドトラックは素晴らしいのですが、指揮者アンドレイ役のアレクセイ・グシュコブの指揮はまったくそれらしく見えず、ヴァイオリニスト役のメラニー・ロランも表情を重視しているためにボウイングのアクションが様になりません。これなら演奏シーンは、「のだめ」の玉木宏水川あさみの圧勝ですね。

指揮者とヴァイオリニストの過去については、やや中途半端な終わり方なので消化不良ですが、全編を通してテンポがよくわかりやすいので、集中力を切らさずに鑑賞できます。細かいことを言わなければ十分に楽しめる映画でした。

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