【サンデル】これからの「正義」の話をしよう

NHKにも出演したハーバード大学教授のマイケル・サンデルの著書、これからの「正義」の話をしようを読んでみました。もともと、会社の同僚に勧められたのですが、自分が考えていた「正義」を根底から覆されるような、あるいはその本質を整理させてくれるような深みのある書籍です。

例えば、故障した路面電車の運転士になったと想定して、このまま進めば5人の作業員を轢き殺してしまうけれど、ハンドルを切れば別の一人の犠牲で済むなら、あなたはどうするかというような問いかけがなされるのです。僕なら、このような状況なら、「神」になることは避けると思います。自分の意思で殺す人を選択するくらいなら、成り行きに任せるということです。もちろん、犠牲者を少なくすることに合理性を見出す人も多いでしょうね。

ただ、後半はそんな「正義」を思想史的に追ってゆく学術的なアプローチになってしまうので、興味は一気に失せてしまいます。もう少し、読みやすい「読み物」のままエンディングを迎えてもよかったのかもしれません。そして読み終わった後には、充実感ともやもやした何とも言えない読後感に包まれるはずです。自分の頭の中を棚卸しする意味でも、読んでみてはいかがでしょうか。

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