こまち1号の意外な乗客

秋田でのボランティアに向かうため、僕は大雨の東京駅で6時56分発のこまち1号に乗り込んだ。結構空席が目立っていたが、上野でも乗客が乗ってくる。僕の前の2席と通路を挟んで反対側の4席のところに、団体がやってきた。しかし、どうも様子がおかしい。荷物を妙に不器用に棚に載せているし、シャツの背中から長いひもが出ているのは何だろう?

そして僕は、彼らのうちの数名の手首にかけられた手錠ですべてを悟る。刑務所への移送か何か、犯罪を犯してしまった人たちと、それを送り届ける警察官なのだろう。不思議なのは、手錠をかけられた者たちの表情が生き生きとしていて、精悍だったこと。それが社会に認められないことであっても、何かをやり遂げたという達成感なのだろうか。彼らは暴れるでも反抗するでもなく、週刊誌などを読みながら静かに過ごしていた。回りも一時は緊張感があったが、次第に不思議な旅の仲間との車中に慣れて行く。

おかしかったのは、席についてすぐに彼らに缶コーヒーが配られたのだが、そのときに「いちごポッキー」も一緒に配られたこと。強面の皆さんがいちごポッキーを受け取っている姿が、妙に微笑ましかったよ。