【ラストキング・オブ・スコットランド】独裁者の半生

僕はこの映画のタイトルだけ見て、「アーサー王物語」のような英国の時代劇なのかと思い込んでいました。アミン大統領を演じたフォレスト・ウィテカーがオスカーを獲得したことは知っていたのですが、うまくそのあたりの情報がつながっていなかったのです。それにしても、なぜこのタイトルなのか、それは映画を見終わってもあまりはっきりとは理解できませんでした。

ストーリーはスコットランドからウガンダにやってきた若い医師・ニコラスの目を通して語られますが、明らかに主人公はイディ・アミンその人です。絶大な権力を手にしていながら、誰も信用することができずに孤立していく独裁者が、哀れなくらいに描かれているのです。最初のうちのニコラスは、明確な意志もないままに冒険気分で異国暮らしを選んだ坊ちゃんに映りますが、アミンと対比していくにつれ、彼の持つ人間味がクローズアップされていきます。

この映画は決してハッピーエンドではないけれど、見終わって殺伐とした気分になることもありません。やるせないような無力感と乾いた感情が静かに心に下りてくるような、そんな映画です。展開がはっきりしているので、見やすい作品だと思います。

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