【ウルビーノのヴィーナス展】妖艶な視線

国立西洋美術館で開催されている「ウルビーノのヴィーナス」を鑑賞してきました。他にもヴィーナスを扱った絵画なども展示されてはいますが、一点豪華主義の展覧会であることは間違いありません。フィレンツェウフィツィ美術館所蔵のティツィアーノの作品の存在感のみが傑出しているのです。

まず感じるのは、描かれた女神・ヴィーナスの極めて人間的な表情と妖艶な視線です。他の作品に描かれたヴィーナスはいかにも「神」らしい高貴な無表情であることが多いのですが、この作品は細面な顔立ちから放たれる挑発的とも見える視線が特徴的でした。

また、その構図も独特です。区切られた室内に外光が指すところや、人物や動物などが計算しつくされた配置になっている点はフェルメールを思わせます。イタリア絵画でありながら、フランドル調の雰囲気を感じさせる画風で100年前に仕上げたことは、ティツィアーノの先進性を表しているのかもしれません。この一作だけでも、見る価値は十分にあると思います。

http://www.venus2008.jp/