【ショコラ】ファンタジーな説話

「ショコラ」はフランスの保守的な村を舞台に展開される映画です。宗教的な道徳観を漂わせながらも、重くなりすぎずにファンタジーの枠内で繰り広げられるストーリーは、なかなか飽きさせません。ジョニー・デップが流れ者のジプシー集団のリーダーを演じていて、まるで海賊のような役どころ。この手のキャラクターは、彼にとってはお手の物ですね。

おもしろいのは、フランスが舞台なのに皆が英語をしゃべるところ。アメリカ映画だから当然と言えば当然ですが、保守的なフランス人にとっては許しがたい行為なのかもしれません。ただ、言語以外はまさにフランスの田舎町がいかにもそれらしく描き出されています。クライマックスの部分で説かれる「大事なのは何を拒絶するか、何を禁ずるかではなく、何を受け容れるかということ」という台詞が、この映画の中核をなしています。

保守的な街によそ者が店を開き、徐々に受け容れられていくという展開は「かもめ食堂」に似ています(「かもめ~」の方が後からの作品ですが)。チョコレートショップではあるけれど、マヤ文明に端を発するチリペッパー入りチョコレートという設定は、ファンタジー色を強めて現実味を薄めることに寄与していました。堅いテーマながら、エンタテイメントとして見せてくれるので、気軽に見られますよ。

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