【レント】日本で流行らない理由

ニューヨークのアパートを舞台に繰り広げられる「芸術家」たちを描いた群像劇ミュージカルの映画版です。公式サイトのイントロダクションを見ると、「貧しいながらも目指すもの(愛するもの)のために必死に生きている若者の物語」というようなテーマだとされています。

僕が感じたのは、これは「性」を抜きにして純粋に「愛」とは何かを語った作品ではないかということ。ゲイやレズビアンカップルがノーマルのカップルと並んで登場しますが、そこに共通しているのはピュアに「誰かを思いやる気持ち」で、それが新鮮に響いてきます。生物学的な視点でいえば、生殖を介在しない愛なんて無意味なのでしょうが、だからこそ人間が人間たる所以としての「愛」がそこにあるように思いました。

ただ、この登場人物に対して感情移入できるかと言われるとNOです。学生運動市民運動臭さが漂うストーリーであることが、この作品を日本でロングラン上演しにくくしているのではないでしょうか。音楽的にも、メロディはきれいで聴きやすいのですが、耳に残らないのです。キャッチーではないその理由は、詞が曲をイメージしていないからでしょう。アンドリュー・ロイド・ウェバーのミュージカルでの音楽は、詞が曲を意識して作られているように思えるのです。詞に思いがありすぎて、曲に乗り切れていないというところでしょうか。

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