【牛ミンチ偽装】シナリオ通りか?

食品加工卸会社「ミートホープ」が牛挽肉に豚肉等を混入していた問題で、同社は21日に記者会見を行い、田中捻社長が自ら指示していたことを認めた。しかし、記者会見の途中まで笑顔すら見せながらノラリクラリと逃げの言い訳をしてた社長に真実を公表する決断をその場で迫ったのは、自らの長男である田中等取締役だった。

いみじくも工場長が「雲の上の人」と評した社長に対して、長男である自分こそが正義の立場を示さなければとの決断というようにも見える。しかし、これは綿密に計算されたシナリオ通りだったとしてもおかしくないと僕は思っている。

こんな偽装を繰り返し、それを止められなかった社内ではそんなシナリオなどかける由もないが、優秀な弁護士や広報・危機管理の専門家のアドバイスさえあれば、こんなことはたやすい。後は、記者会見でそれぞれの役割を演じきれるかどうかだ。そして、社長が引責辞任(逮捕・起訴)されても、長男が会社を引き継ぐという最低線を守りたかったのではないか。

少なくとも田舎芝居には見えなかったのだから、そんなシナリオなどなかったのか、あるいは田中父子の演技力が素晴らしかったかのどちらかである。もうひとつオプションがあるとすれば、「田中等氏をヒーローにすることでニュース性を高めたい」というマスコミのニーズによって、巧みな編集が施されたということだろう。

いずれにしてもマスコミの報道に隠された意図を邪推して、疑いの目を向けて見ることは情報を受信する「マス」のひとりとしては必要な行為ではないだろうか。