【ナイロビの蜂】地味に展開する本質

人の命の重さとか、製薬会社と政府の癒着とか、いろいろこの映画で描かれているテーマはあるのだろうけれど、アフリカを舞台にした作品を見ていつも感じることがあります。それは、発展途上国が豊かになることが本当に幸福なことなのかということと、そして産業のない国で生き抜こうと他人の足をすくうことを僕たちが責められるのかということです。

この作品ではキャストもストーリーもかなり地味目ですが、淡々と展開する出来事の中に本質が見え隠れします。エンディングはハッピーエンドといえなくもないけど、単純なヒロイズムの限界をも同時に描き出してくれたことに、少しホッとさせられました。

主演のレイフ・ファインズハリー・ポッターの4作目で悪の権化・ヴォルデモートを演じていたんですね。この作品での薄めのキャラからは想像ができませんでした。彼の演じる外交官は、英国の在外公館で一等書記官の任にある人間としては軽率にすぎるし、あまりにも似つかわしくありません。日本語にはなかなか訳し難い原題の「The Constant Gardener」は、このあたりを指しているのでしょうか。

レイチェル・ワイズはこの作品でオスカーを獲得しているけど、確かに二重にも三重にも企みを隠しているような表情や素振りは、見事な演技でした。でも、あえてそう描いたともいえるのでしょうが、華のなさが物足りなかったです。

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