【アート】藤田嗣治展

今日からはじまった国立近代美術館の「藤田嗣治(ふじたつぐはる)展」を、さっそく鑑賞してきました。藤田は大正時代にパリで活躍した画家で、モディリアーニと親交が厚かったそうです。初期の絵は模倣と呼んでもいいような、マティスやブラック、ローランサンを思わせるような作品が並んでおり、親友モディリアーニに似た作風の作品も展示されていました。

画家にはピカソの「青の時代」などに代表されるように、その時期の特徴があるものですが、藤田の場合はどれが極端です。パリにいればパリを思わせ、南米では南米、日本では日本を想起させてくれます。パリでは淡い乳白色を活かした裸婦が、南米ではゴーギャンタヒチを思わせる大胆な色使いになり、そして戦時期の日本ではその極限状態での悲哀を描いています。あえて作風を挙げるとすれば、いかにも日本人の目から見た視点でデフォルメされた人間とでも言いましょうか。フランス人の女性なら、色の白さや目の大きさ、顔の形などが強調されて描かれていて、日本人にはない部分にフォーカスがあたっているような印象を受けたのです。

その意味では「これぞ藤田」という画風を探すのは難しいですが、この展覧会のポスターにもなっている「カフェにて」に描かれているパリの女性の口元の表情に、藤田の画風が凝縮されているように感じました。今なら千鳥ヶ淵の桜も合わせて楽しめるので、絶対にお得です。

ちなみに藤田のフランス語表記は"Leonard Foujita"で、フジタが"Fujita"でなく"Foujita"になっているのは"u"の音がフランス語では「ウ」ではなく「ユ」だからです。ローマ字通りの表記だと「フュジタ」になってしまいます。

http://www.momat.go.jp/Honkan/Foujita/